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「……このまま、死ぬんだって思ってました。……死んでもいいって本気で思ってました」
希望の光なんて、見えたことがなかった。
神様なんていないんだと思っていた。
この酷い仕打ちの先にあるものなんて、死しかないと思っていた。
「でも……私は柊ちゃんに救われたんです。柊ちゃんは、私の父の弟で……柊ちゃんに助け出されたあの日、私はいつものように殴られた後、物置に閉じ込められてました」
後から知ったことだけれど、柊ちゃんは父の暴力をずっと疑っていたらしい。
一度だけ父が家にいないときに、柊ちゃんが家を訪れたことがあった。
私はそのとき、挨拶さえ出来ずにすぐ自分の部屋に逃げ込んだ。
父の弟も、当然怖い人なのだと思っていたから。
私のことを、殴りにきたのだと思ったから。
でも玄関で顔を合わせた瞬間に、私の様子がおかしいことに気付いたらしい。
健全な子供には見えなかった。
だから、何かあると思っていた。
兄なら、家族に暴力をふるうことは十分あり得ることだ。
柊ちゃんは、後から私にそう話してくれた。
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