329人が本棚に入れています
本棚に追加
/38ページ
「ま、まだ付き合い始めたばかりなので、そこまでは……」
「でも彼氏、結構年上っぽいですよね」
「私より、八つ上です」
「三十過ぎてるなら、向こうは考えてるかもしれないですよね。それか、楠さんは結婚するまでの遊び相手とか」
「え……」
瀬名さんが私を本気で想ってくれていることは、誰より私がわかっているはずなのに。
自分にいつまでも自信が持てない私は、他人の言葉に簡単に動揺してしまう。
「本気にしないで下さいよ!冗談ですから」
「じ、冗談でもそんなこと言うのやめて下さい……」
あとどれくらいの時間が経てば、こんな冗談を笑って聞き流せるようになるのだろう。
強くなりたい。
何にも動じないような人になりたい。
でも、どうすれば強くなれるのか、わからない。
「俺より年上でこんなに初々しい人、初めて見ましたよ」
「すみません、何でも真に受けてしまって……」
「いや、謝らないで下さいよ。逆に萌えるっていうか……」
「え?」
そこで、お互い沈黙になってしまった。
どことなく変な空気が流れているのが、自分でもわかる。
最初のコメントを投稿しよう!