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二十六歳の春。
私は瀬名さんと共に、東京へ飛び立った。
東京へ行く日、柊ちゃんとなっちゃんが空港まで見送りに来てくれた。
なっちゃんはいつものように明るくエールを送ってくれたけれど、柊ちゃんは目が腫れるくらい泣いていた。
「望愛、少しでも寂しくなったらすぐ帰ってきていいんだからな!瀬名くんとケンカしたら、すぐ俺に連絡しろよ!いつでも東京まで飛んでくるからな!」
変わらず過保護な柊ちゃんを見て、私と瀬名さんは苦笑するしかなかった。
柊ちゃんが血相を変えて東京まで駆け付けてくる姿が簡単に浮かんでしまう。
柊ちゃんのお店のシェフは、とりあえず夜の時間は安藤さんがバイトで入ってくれることになったらしい。
昼間はなっちゃんが店を手伝っている。
その間、愛斗はなっちゃんの両親に預けているようだ。
二人には、私が店を辞めることで多大な迷惑をかけてしまった。
それなのに、快く送り出してくれた二人には感謝しかない。
これから先、今まで以上に二人には恩返しをしていきたいと思っている。
正直、東京に引っ越してきたばかりの頃は、柊ちゃんとなっちゃんに会いたくて仕方ない日々が続いた。
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