恋に溺れる感覚

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恋愛に関しては淡白だと思っていた分、今回は積極的に行動を起こしていることに僕は自分でも驚いていた。 でも、自分から行動を起こさなければ彼女のことは一生手に入らない。 きっと僕は本能でわかっていたのだろう。 イブに彼女と出掛けることを、僕は事前に店に出向いた際、柊さんに話していた。 「は?二人で出掛ける?イブに?」 「えぇ。ちょうどこのお店の定休日と被ってるんで、誘いやすかったですよ」 「クッソ……なんで火曜日にイブがぶち当たるんだよ」 柊さんは苦々しい顔でグチグチと文句を言い続けたけれど、結局出掛けることに関して反対はしてこなかった。 「てっきり反対されるかと思ってましたよ」 「本当は大反対だけどね。でもあんまりうるさく言って望愛に嫌われたら困るしな」 柊さんがどれだけしつこくしたとしても、彼女が柊さんを嫌うことは絶対にあり得ないだろう。 でも僕は二人の絆の強さに少なからず嫉妬していたため、敢えて柊さんを喜ばせるようなことは口にしなかった。 正直、彼女に恋をしてから、自分の心があまりに狭すぎることに気付き戸惑っている。
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