恋に溺れる感覚

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「で、イブはどこに行く予定なんだよ?」 「まだ迷ってるんですよね。旭川の旭山動物園に行くか、函館のイルミネーションを見に行くか。どっちも距離はあるけど、せっかくだから遠出したいと思っていて」 小樽も候補に入っていたけれど、少しでも札幌から距離のある場所の方が、その分彼女と長く一緒にいられる。 北海道は冬でも楽しめる観光地が多いため、選択に迷ってしまう。 「函館は……やめた方がいいんじゃないかな」 「……そうですか?」 「ちょっと距離が遠いからな。日帰りで考えると、瀬名くんも運転があるから大変だろ。それに、望愛も気疲れするだろうし」 このとき僕は、柊さんの言葉を真に受けて行き先を旭川にすることに決めた。 でも、後になってこのときの柊さんの助言には、もっと他に深い意味があったのだと知ることになる。 それは、クリスマスイブ当日。 旭川へ向かう車の中で、彼女と会話をしているときだった。 函館に行くことも考えたと僕が言うと、それまで笑顔を見せていた彼女の表情が急変した。 そして、函館には行きたくないと、僕に訴えた。 彼女は、目には見えない何かに怯えている様子だった。
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