好きだけじゃ足りない-2

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「一緒にいた子ですか?確か背が小さくて、髪が黒くて……真面目そうな感じの子だったと思いますけど……」 背が小さくて髪が黒くて、真面目そうな外見。 全て望愛に当てはまっている。 僕は望愛がまだ安藤と、この校内にいるのだと確信した。 「その安藤くんに用があるんだけど、今どこにいるかわかる?」 「安藤も案内係だから、まだ校内にはいると思いますけど、どこにいるかまでは……」 「正確な場所が知りたいんだ。誰か他に知ってる人いないかな?」 外に出てしまっていれば捜すのは困難だけれど、まだ校内にいるのなら会える確率はぐっと上がる。 「じゃあ今安藤に電話してみますね」 そう言って一人の子が電話をかけてくれたけれど、どうやら繋がらないようだ。 望愛も安藤も、電話に出ない。 その状況に僕は少なからず焦りを感じ始めていた。 すると、別の子が安藤の居場所について周囲の人から情報を聞き出してくれた。 「ついさっき、安藤が女の子と一緒に上の階に上がっていくのを見た人がいたみたいです!」 「ありがとう」 僕は階段を駆け上がり、人の気配がない三階のフロアに到着した。
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