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彼女の頬に触れ、僕はその柔らかな唇にキスをした。
本当は濃厚なキスをするつもりだったけれど、彼女の体調を考慮して触れるだけのキスにとどめた。
ここで本格的なキスをしてしまったら、僕は理性を抑えられる自信がない。
けれど唇を離すと、彼女が物足りなさを感じていることが表情で読み取れてしまった。
「……物足りない?望愛がもっとキスしてほしいって言うなら、してあげるよ」
大人げない発言だとわかっていても、困る彼女の顔が見たくて止められない。
「なんて、意地悪言ってごめん。これ以上キスしたら止められなくなりそうだから……」
すると彼女の口から、予想外の言葉が返ってきた。
「キ、キス、やめないで下さい……キスだけじゃなくて……私の全部、もらって下さい……っ」
このとき僕は、どんな顔をしていただろう。
まさか、彼女の方からそんなことを言ってくれるとは思いもしなかった。
キスの先に進みたい。
その気持ちは常にあったけれど、強引に彼女の初体験を奪うようなことはしたくなかった。
だから僕は、相当慎重になっていたと思う。
正直、あと半年は我慢する覚悟はあった。
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