好きだけじゃ足りない-2

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首筋に舌を這わせると、甘い声で彼女が鳴く。 そして僕がその素肌に触れようとした瞬間、彼女は急に布団で自分の裸を隠し見られることを拒んだのだ。 「どうして隠すの?」 「見られたくないからです……」 見られたくない。 その言葉に僕は少なからずショックを受けたけれど、直後に彼女が放った言葉でその真意に気付くことが出来た。 「き、綺麗じゃないんです……私の身体、昔の傷がまだ残ってるんです……」 虐待を受けていたと聞いたときから、彼女の身体にその頃受けた傷が残っていることは予想していた。 数年に及んだ虐待の傷が完全に消えていることの方が、考えにくい。 「僕には、全部見せて」 「でも……っ」 「身体に残った傷を見て、僕が望愛を嫌うと思う?」 100%、僕が望愛を嫌うことはないと断言出来る。 その気持ちが彼女にも伝わったのか、裸を隠していた布団はゆっくりと彼女の手によって剥がされていった。 僕は目の前にさらけ出されたその身体から、目を離さなかった。 全身のあらゆる箇所に散りばめられた傷が、彼女の悲惨な過去を物語っている。
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