好きだけじゃ足りない-2

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「お兄さん、カッコいいですね!本当は教室まで案内することなんてしないんですけど、お兄さんはイケメンだから特別です!」 僕は返す言葉に困り、苦笑いでその場をやり過ごすことに決めた。 今の若い子には、積極的なタイプが多いのだろうか。 僕が勤める会社には十代の女性はいないため、普段はここまで若い子と関わる機会はない。 仕事に関しては、男女問わず積極的なタイプの方が、斬新なアイディアを出すことが多く仕事も効率よく進む。 けれど恋愛になると、話は別だ。 僕は望愛の控えめな性格が好きだ。 少しぐらい、自分に自信がなくたっていい。 普段は消極的な望愛が、たまに僕に素直な気持ちを伝えようとしてくれることが堪らなく可愛くて仕方ない。 結局、僕は彼女の全てに惚れてしまっているのだろう。 「お兄さん、恋人いるんですか?もしいなかったら、私立候補してもいいですか?」 「悪いけど、僕には勿体ないくらいの可愛い恋人がいるから」 「やっぱいるのかぁ、残念!」 若い女の子の軽いノリに答えながら進んでいくと、ようやく調理の実演を行っている教室の前までやって来た。
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