好きだけじゃ足りない-2

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教室の中を覗き込み、彼女の姿を捜す。 けれど、彼女の姿はどこにもない。 同じフロアで実演をしている教室をいくつか回ってみたけれど、やはりどこにも見当たらなかった。 もしかしたら、もうここにはいないのかもしれない。 もう一度電話をかけてみようと、スーツの上着のポケットからスマホを取り出したとき。 僕をここまで案内してくれた三人組の中の一人の声が、耳に届いた。 「そういえばさっき、安藤が知らない女の子といるところ見たよ」 「え、マジで?彼女とか?」 「彼女じゃないとか言ってたけど、何か怪しい感じだった!あれは絶対、安藤が好意持ってると思うんだよね」 「後で皆で安藤のこと問い詰めてみようよ」 僕は三人が繰り広げる会話を耳にしながら、その名前に聞き覚えがあると感じていた。 確か望愛は、一緒に働き始めた男のことを、『安藤さん』と呼んでいた。 柊さんの口からも、同じ名前を聞いている。 僕は一度手にしたスマホをまたポケットの中へ戻し、安藤が女といるところを見たと言った子に声をかけた。 「その安藤くんが一緒にいた女の子、どんな子だったか覚えてる?」
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