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「じゃあ、望愛が眠れるまで話そうか」
「え……」
「寝れなくなるほど怖いホラー映画の話、聞かせてもらおうかな」
望愛が僕に嘘をつくなんて、何かよっぽどの理由があるに違いない。
だからこそ、簡単に責めるようなことは出来なかった。
どうして嘘をつくの?と問いつめたところで、今の望愛はその理由を言ってくれないような気がしていたから。
「……ホラー映画の話なんかしたら、瀬名さんまで寝れなくなっちゃいますよ」
「僕は大丈夫だよ」
「ダメです……瀬名さん、明日も朝早いですよね?……もう、寝て下さい。私も寝ますから」
普段とは違い早く電話を切ろうとする望愛に、明日札幌に帰るから家で僕の帰りを待っていてほしいと伝えた。
望愛は微かに震えた声で、わかりましたと呟き電話を切った。
こういうとき、互いの間にすぐには会いに行けない距離があることがもどかしい。
望愛がなぜ僕に小さな嘘をついたのか。
僕と離れている間に、望愛の身に何が起きたのか。
その衝撃的な答えを、僕はこの翌日に思いもよらない形で知ることとなる。
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