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札幌へ帰る日の朝、六時に起床した僕はシャワーを浴び、ホテルの部屋で新聞を読みながら朝食を食べていた。
ホテルの朝食も美味しいけれど、望愛が作る朝食には及ばない。
明日からまた望愛と一緒に朝食を食べれるのだと思うと、勝手に顔がにやけてしまう。
それにしても、昨夜の望愛の様子はいつもと何かが違っていた。
この日は火曜日のため、望愛にとっては休日だ。
休日のこの時間はまだ眠っているだろうから、もう少し時間が経ってから電話をかけてみようと思っていた。
するとそのとき、僕のスマホに着信が入った。
こんな朝早くに電話なんて、どうせ葛城からだろうと思い画面を覗き込む。
見ると葛城からではなく、柊さんからの着信だった。
その瞬間、胸がざわついた。
出来れば感じたくない、嫌なざわつきだった。
「……はい、瀬名です」
「瀬名くん!望愛から連絡きてないか!?」
柊さんが明らかに冷静さを失っていることは、その切迫した声ですぐにわかった。
「昨日の夜は電話で話しましたけど……」
「昨日じゃなくて今日の朝は!?」
「柊さん、落ち着いて下さい。……何があったんですか?」
焦る柊さんに落ち着いてと言っておきながらも、動揺した僕は気付けば椅子から立ち上がっていた。
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