解き放たれた光の先に

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七月下旬の火曜日。 僕は望愛をデートに誘った。 僕と望愛は仕事の休みが合わないため、二人でどこかに出掛ける機会は少ない。 望愛も喜んで承諾してくれた。 出会った頃は僕にほとんど笑顔を見せなかった望愛が、今は些細な事でも感情を表に出し、僕に笑顔を見せてくれるようになった。 たったそれだけでも、僕は心が震えるほどに嬉しかった。 以前は旭川まで遠出した事もあり、今回のデートでは札幌近郊を回ることに決めた。 中央卸売市場に、ワイナリーや果樹園、定山渓温泉。 それから、札幌市内では最も綺麗な夜景が見れる事で有名な藻岩山。 望愛は全てが初めてだと言って珍しくはしゃいでいたが、僕にとっても初めて行く場所ばかりだった。 望愛と一緒じゃなければ、夜景を見に来る事などなかっただろう。 この日はよく晴れていたため、星がハッキリと目視出来るほどに輝いていた。 満天の星空を眺める望愛の横顔を見つめながら、僕はしばらくの沈黙の後、話を切り出した。 「実は今日は、望愛に話しておきたいことがあるんだ」 望愛は何かを察したのだろうか。 少し不安げな瞳で、僕を見た。 「望愛も薄々気付いていたかもしれないけど……僕はその内、本社に戻ることになると思う。昨年の春に札幌支社に赴任したときに、父と約束したんだ。……二年でプロジェクトを成功させて、本社に戻ると」
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