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それから二週間以上が経過したけれど、望愛からはまだ返事をもらえていなかった。
来年の春までは、まだかなりの時間がある。
こうなったら、ギリギリまで悩んでもらっても構わないと思っていた。
「え、お兄ちゃんが家にいるとか珍しい!いつも出張で東京に来ても、家に寄ることなんてないのに」
「別に、気が向いただけだよ」
この日は東京に出張で来ていて、仕事の後に実家に顔を出していた。
望愛のおかげで、僕と両親の仲は少しずつだが修復しつつある。
父には本社で顔を合わせるが、たまには母の顔も見ておこうと思うなんて、今までの自分にはあり得ないことだ。
望愛が僕のために必死に行動してくれたことが、どうやら僕の行動にも多大な影響を及ぼしているようだ。
リビングで母と家政婦のヨシコさんと談笑していると、外で夕食を済ませてきた麗奈が帰宅し、僕の姿を見て声を上げた。
「望愛から影響を受けたんでしょ?やっぱり望愛は凄いわね」
麗奈は他人のことを滅多に褒めないが、望愛のことは最近よく褒めるようになった。
相当心を許しているのだろう。
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