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「望愛は今の仕事、好きでしょ？」
「……好きです」
「じゃあ、辞めないで。それに、続けてもらわないと困るよ。僕にとって望愛の店は、息抜きが出来る大切な場所なんだから」
僕だけではない。
望愛の店にお忍びで通っている父も、望愛が店を閉めると言ったら残念がるだろう。
望愛の店に頻繁に通っている麗奈は、怒って大騒ぎするかもしれない。
「わかりました……じゃあお言葉に甘えて、続けさせてもらいます。でも私、社長の妻としての役目もちゃんとしますから！」
「社長の妻としての役目ってどんな？」
「え……そ、それは……」
望愛はわかりやすく困り、急にしどろもどろになった。
「こ、これからお義母様にいろいろ教えてもらおうと思います……」
「あの人、言い方きついから嫌でしょ？別に教わる必要なんて……」
「い、嫌じゃないです！私……お義母様のこと、好きです。確かに厳しい面はありますけど……お義母様の厳しさは、苦痛だと思わないです。……それに私、嬉しいんです」
「嬉しい？」
「お義母様、前に言ってくれたんです。これからは私のことを、本当の母親だと思っていいからって。瀬名家に嫁いだ以上、あなたは私の娘だからって。……だからこれから、何でも言い合える親子のような関係になれたらいいなって……思ってるんです」
「……」
息子の嫁としてではなく、望愛を自分の娘のように思っているなんて……そこまで母が望愛のことを想ってくれていたなんて、知らなかった。
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