757人が本棚に入れています
本棚に追加
愛しい彼女を手に入れるまで、本当にいろいろあったけれど、今日という日を無事に迎えることが出来て僕はほっとしていた。
「では、これで本日のパーティーの進行の説明を終えますが、望愛さん何かご質問はございますか」
「いえ、特に質問はないんですけど、ちゃんと覚えられるか心配で……」
「ではもう一度始めから説明致しましょうか」
「お、お願いします……」
僕は既に今日のパーティーの進行は頭に全て入っている。
パーティーが始まる前に望愛を独り占めしたかったけれど、望愛は葛城の説明に集中している。
……正直、面白くない。
「葛城、説明はもういいんじゃないか?望愛もそんなに全部覚えようとしなくても大丈夫だよ。僕らがすることなんて、特に何もないんだから」
最初に僕が挨拶をして、望愛を妻として紹介する。
その後は関連会社の社長たちが揃って祝福の言葉を述べる。
それが終われば後はそれぞれのテーブルで酒を酌み交わすぐらいだ。
「でも私、こういう場は本当に初めてなので、一応覚えておきたいんです。葛城さん、すみません……続きをお願いします」
「承知しました。では、副社長のご挨拶が終わった後は……」
結局二人に相手にされず、一人で時間を持て余していると、控え室の扉をノックする音と共に母が入室した。
最初のコメントを投稿しよう!