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「す、すみません葛城さん!ありがとうございます」
「いえ、転ばずに済んで良かったです」
望愛は顔を赤らめながら、助けてくれた葛城に対し律儀に礼を言う。
反対に僕は、望愛の身体に思いっきり触れた葛城に対し嫉妬し、不機嫌になっていた。
ふと隣を見ると、麗奈もまた僕と同じように不機嫌になっている。
そしてそれを一切隠そうとしない。
兄妹揃って嫉妬深いなんて、重症だな……。
「ちょっと望愛!高いヒール履いてるんだから、少しは気を付けなさいよ」
「そうですよね……気を付けます」
「お嬢様は一体何をそんなに怒っているんですか」
「べ、別に怒ってないから!私、先に行ってるからね」
麗奈の気持ちは、葛城に全く届いていない。
届く気配すらない。
まぁ、あんな強気な態度を取っていたら、届くはずがないか。
「葛城、悪いけど麗奈のこと追いかけてやってくれないか。相当機嫌悪いみたいだから」
「承知しました」
これで麗奈の機嫌も少しは元に戻るだろう。
葛城を追い出すことに成功した僕は、早速残り少ない時間で望愛を独り占めしようと試みる。
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