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「望愛、今日はメイクもいつもと違うんだね」
「そうなんです……普段より少し濃くしてもらったんです。あ、もちろん化粧品は全部湊さんの会社のものですよ」
僕は化粧品の会社に勤めているから、完璧にメイクが施された顔は普段から見慣れているつもりだった。
それでも、望愛の場合は別だ。
基本がナチュラルメイクな分、いつもよりも大人っぽく見える。
更に隠された色気が醸し出されていて、目が合うだけで胸が疼いてしまう。
「もっと近くに来て、よく見せて」
パーティーのことなんか忘れて、このまま綺麗に着飾った望愛を連れ出してどこか遠くに行ってしまいたい。
そんなバカなことを本気で思いながら望愛の頬に触れたとき、タイムリミットを迎えてしまった。
「失礼致します。副社長、奥様、準備が整いましたのでよろしくお願い致します」
「……わかった、今行くよ」
部下に呼ばれ、渋々望愛の頬から手を離した。
名残惜しいけれど、仕方ない。
「望愛。この続きは、今夜ね」
「こ、この続きって……」
「後でたっぷり可愛がってあげるから」
鈍感な望愛もさすがに意味を理解出来たのか、恥ずかしそうに俯き、控えめに頷いた。
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