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文子が、フロントのあるフロアとは別フロアにあるパーティールームへ急ぎ向かった時に、既に騒ぎは起きていた。
「ここはカラオケルームなのよ! カラオケ教室じゃないの!」
コマチさんが歌姫のカラオケ教室に乱入し、出て行けと騒ぎ始めているところだった。
文子が、必死でコマチさんを取り押さえ、これ以上騒ぐようでしたら、警察を呼びますよ!
と、言ったところで、コマチさんは逃げるように帰っていった。
呆然とする歌姫と、カラオケ教室に参加していた老人達は、コマチさんの豹変に恐れおののき、おびえているようだった。
1時間無料サービスをつけて、次回使えるフードサービス券を配ると、老人たちは簡単に納得し、パーティールームでは、コマチさんの日頃の傍若無人さについての悪口大会が始まった。
文子は、唐突に乱入したコマチさんにはかなり問題はあったかもしれないが、脅威が去ったとたんに悪口を言い出す老人達にも、少しばかり眉をひそめた。
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