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しかし、コマチさんが本社の方に電話をかける事で、カラパレ北川口店の方は静寂を取り戻したという。一時期、昭和の歌姫、香野小夜は、女性ではあるが、コマチさんの形相に驚き、入店が途絶えてしまった。
けれど、コマチさんが姿を見せなくなってから、カラオケ教室の方も再開しているという。
現店長の柿本は、標的が本社に移ってくれた事に心から安堵しているそうで、
「安居が本社に異動してくれて本当によかったわー」
などと、うそぶくのだった。
文子は、コマチがここまで増長してしまったきっかけは自分にあるのではないかと一時思い込み、退職をも覚悟した。
結果、元上司の大友の働きかけもあって、本社へ異動する事になったのだが、コマチさんから逃げたつもりが、コマチさんの方が文子を追いかけてきている状況になっている。
けれど、文子はコマチさんからの電話に出ることで、わずかではあるが、贖罪の気持ちにもなっていた。文子が増長させてしまったコマチさんの電話を文子自身が受けるのは、利にかなっているのではないかと思えたのだ。
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