ふたりの交換日記帳

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ある日の朝、私の机の中に学習帳が入っていた。 私のものでないことは、すぐにわかった。 誰のだろうか。間違えて入れたのか。 不思議に思いながら表紙をめくると、そこには大きく交換日記と書かれていた。 私は一瞬戸惑い、表紙を閉じた。 ひっくり返しても名前は書いていなかった。 表紙を再び開いて、交換日記と書かれたページをめくると、そこには短くこう書かれていた。 『牧野さん。僕と交換日記をしてください』 6-2組 久賀理 その名前を見て驚いた。 久賀君は隣のクラスで、学年トップの成績を持つ男の子だった。 それが、どうして私なんかと交換日記がしたいのか。 正直、イタズラだと思った。 だから、私はただ『どうして?』とだけ書いて、放課後誰もいなくなったのを見計らって、予め調べておいた久賀君の机の中にノートを入れた。
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