ふたりの交換日記帳

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翌日、いつの間にか机の中にはまた学習帳が入っていた。 そこには、『交換日記が流行っているみたいだから。だけど、僕には友達がいないし。牧野さんなら一緒の塾に通っていた時もあったから。少しの間だけでいいよ。いつでも嫌になったら捨ててくれれば』 確かに、久賀君とは同じ塾に通っていた。 けれど、それは小学3年生の時で、しかもその塾は宿題がとても多くて私は一年で辞めてしまった。 久賀君は私と違って無口で、いつも分厚い本を見ていた記憶がある。 塾の中でも一番頭が良くて、よく先生に褒められていた。 一方の私は、うるさいと叱られるほど、友達とふざけてばかりだった。 それに、塾には私の他にも同じクラスの女の子がいたのに、何故私なのか。 考えれば考えるほど不思議でならなかったが、少しぐらいなら付き合うかと私はペンを取った。 けれど、私も交換日記なんてして事がないし、友達に手紙すら書いた事がなかった。 私は一体何を書けばいいのだろう。 その事が授業中にも気になって、教科書の下に忍ばせた交換日記には、いつの間にか落書きでいっぱいになっていた。 結局、自分の好きなアニメや漫画の事を書いてみた。 久賀君がアニメなんかに興味があるとは思えなかったけど。
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