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……同情。結城の頭にそんな言葉が浮かんだ。
「どうせ俺は部長みたいにはなれないですから」
「そうだね。結城くんは私みたいにはなれないよ」
皮肉を言ったつもりが更にバカにされた。
そう思って遠山の方を向くと、いつもキリッとしている眉が八の字になっていた。
「私だって結城くんみたいにはなれないんだよ」
「別に部長は俺みたいになる必要ないじゃないですか」
落ちこぼれ。そう親からも兄弟からも言われている俺なんかに。
「学校中の子と先生は卒業しても結城くんのこと覚えてるよ」
確かに悪目立ちをしている自覚はある。
「俺は規格外で――」
言いかけた結城の言葉を遮って遠山は続けた。
「卒業したらクラスメイトも先生達も誰も私のことなんて覚えてないよ。目立てるってのも才能なんだよ」
それに…と遠山が更に続ける。
「天才だって規格外だよ」
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