名ハンター、タァちゃん

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絶命して間もないのだろうか。 ヤツの体は真っ二つに分断されながらも、足をばたつかせている。 いや…、底知れぬ生命力を持ったヤツのことだ。 こんな状態になっても、息絶えるまで時間がかかるのかもしれない。 この上は、天にまします我らの父に祈りを捧げ、ヤツをその御手に委ねよう。 偉大なる父よ。 どうかヤツに安らかな眠りを与えたまえ。 アーメン。 数秒とも数時間ともとれる長く短い時間を、フェアリーは祈り続けた。 願いは届いたのか、やがてヤツの体はピクリとも動かなくなった。 …逝ったか? いやいや、まだ油断はできない。 ヤツの得意技は死体の真似なのだ。 突如起きあがって、刃向かってくるのはいつものこと。 フェアリーは、おそるおそるとモップの柄をヤツに近付ける。 もし、まだ生きているのなら、ジジジと反撃するであろう。 震えるモップの先に全神経を集中し、ゆっくりゆっくりとヤツに接近させる。 ジジジがきたら、逃げるのだ。 そっと後ろを振り向いて、退路を確認。 百戦錬磨のフェアリーには分かっている。 退路の確保は、戦闘で生き残るための重要なポイントなのだ。
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