試作品4:シャルティの回想3

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 それから詳しく話を聞いてみると、キュラムはたった今、魔王(まおー)とザンキを自室に案内してきたそうだ。  私が気を失ってから今日で6日目になるらしいけど、魔王(まおー)とザンキは、各所への説明に追われるキュラムの代わりに、ずっと私の傍に居続けてくれたんだって。  なんでも、魔王(まおー)から溢れる聖杯の生命力が、辛うじて私の命を繋ぎ止めてたんだとか。  手術後30時間くらい、危篤状態が続いてたんだって。  だけど結果的に私は生きてる。ちょっとやつれてるけど、キュラムも、魔王(まおー)も、ザンキも無事だった。  なら私が言うことはもう何もない。たとえ左腕が使えなくても、私にはまだ右腕が残ってる。これはとても幸せなことだ。  魔王(まおー)、キュラム、ザンキたちが繋いでくれたこの命は、絶対に無駄にしないよ。  …って決意した直後、私は安堵からくる睡魔に襲われ、夢の中へと沈んだ。 ーーーーーーー  ーー私が目を覚ましてから再び眠りにつき、また目覚め、眠り…次に気がついた時は、10日もの日数が経過していた。これは何故かというと、全身麻酔で昏睡してたからだよ。  一般的な鎮痛剤や局部麻酔じゃ全く痛みが引かなくて、強制的に眠らせてもらわないと眠れないほど痛かったの。  昏睡してる間も魔王(まおー)が手を握っててくれたらしくて、そのおかげか、目が覚めた時にはすっかり痛みが引いてた。  主治医から宣告されていた通り、私の左腕は完全に機能しなくなっちゃったけど、会話・歩行・食事などの活動…「日常生活」を送るだけなら、特に問題はなかった。  たゆまずリハビリを続け、最初に目を覚ましてから19日目。  魔王(まおー)とザンキが仕事の都合で帰省した後、私は骨折した時のように左腕をギプスで固定して、紐を首に回し、安定させることで仕事に復帰することができた。まあ担当は専ら事務仕事だけどね。  それから、以前にもましてキュラムは私の側から離れなくなり、事ある毎に心配してくれるようになった。  ドアの開閉とか物の持ち運びとか、手伝ってくれるのはありがたいけど…さすがにちょっと過保護すぎる気もする。 「シャル、そこ段差あるから気を付けろよ」 「もう何百回と通った道なんだから、今さら躓いたりしないよ」  こんな感じで、常に心配してないと気が済まないみたい。  むず痒い日々はなおも続き、約1年が経過した。
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