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今のところ、ひとつのメモリースティックに1種類しか罠を登録出来ず、使用回数にも制限があるものの、自宅の作業室に設置されているメインコンピュータに繋げば…。
なんと(?)、登録した罠の種類を書き換えたり、使用回数を最大まで充填することが出来るのだ(※普通のこと)。
今は持ち合わせていないが、空白のメモリースティックを携行していれば、ダンジョンで閃いた新たな罠魔法を一時的に保存し、メインコンピュータに同期することも可能だ。
登録してある罠の確認は、メモリースティックのスリープ解除ボタンを押して、電子パネルに表示される名称を見れば丸わかりというわけだ。
シャルティは早速、慣れた手つきでスリープボタンを解除した。
「えっと…」
表示された名称は以下のとおり。
(種別:性能/属性:+残り使用回数と読む)。
メモリー1
攻撃:小範囲爆破/炎小ダメージ:+5
メモリー2
回復:対個人/回復量小+4
メモリー3
設置:とりもち/5ターン移動不可+2
メモリー4
設置:落とし穴/1階層落下&高低差ダメージ:+5
「んー…急いで出てきたから、実用的なのが少ないなぁ…。メモリー2と3、充填するの忘れてるし…」
携行した罠の種類と使用回数を確認した結果、ガックリとうなだれてしまった。
「はぁ…この爆破の威力じゃ、頑丈な入り口は傷付かないだろうし…回復じゃおなかはふくれないし…とりもちとか落とし穴とか、今もっとも必要ない罠だし…」
現状を打破できるかもしれないとぬか喜びした分、しっぺ返しが痛すぎた。
「むぅ…どうすればいいかな…」
新たな打開策を考えつつ、シャルティはメモリースティックを1本ずつカフスの裏に収めていく。
すると突然、激しい目眩に襲われた。
「あ…っ?」
飢餓と疲労によるものだろうか。揺らぐ水面のように視界がグニャリと歪み、手にしていたメモリースティックの「罠発動ボタン」に親指が当たってしまい…。突如、足元に複雑な図形の魔法陣が浮かび上がった。
魔法陣はすぐに地面と同化して、シャルティ以外の目に映らない不可視状態に切り替わった。
「(やば…意識が、薄れ…)」
方向感覚を麻痺させる目眩は、シャルティの意識すら容易く奪ってしまう。突然の出来事に、シャルティは為す術もなくそのまま魔法陣の上に倒れ込み…。
誤って設置した罠、「落とし穴」の効果が発動されてしまった。
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