試作品:闇堕ちしたら人生楽しくなりました

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 --ここは、現代と世紀末とファンタジー世界が入り交じったような古めかしいカオス異世界、ルドワー。  ほぼ地球と同じ物質で構成された、地球と同じくらいの質量を持つ惑星であり、魔物たちの間にのみ魔法という概念が存在していた。  そしてファンタジーのお約束ともいえる魔物軍団が、世界中で人々を襲う…事はなく。  逆に僻地でひっそりと暮らしている魔物たちの住処、ダンジョンに人類が一方的に押し入り、殺戮を繰り広げ、素材や鉱石などを強奪し、資金に換えていた時代。  人の世では古来から魔物討伐を「正義」と呼び、世界各地に(イン)という国家を形成し、広く栄えていった。  なかでも極東の小さな島国、パジャンの繁栄っぷりは顕著だった。何故ならパジャンには、古来より魔物しか住んでいなかったからだ。  事の発端は、魔王が持つ「人類の欲望を叶える至宝・聖杯」の奪取を目論み、人類が大陸本土からパジャンに渡航してきたところから。  男女2名ずつ→4人×6組=24人の戦士たちは、戦う気の無い魔物を相手に凶刃を振るい、一方的に弾圧。  わずか5年ほどの期間で47という異常な数の街を造り上げた。  後に戦士たちはパジャンの極東に築いた「トウキョウィズダム」に定住し、子孫を増やし…長い時間が過ぎ去った時、パジャンは人の楽園と化していた。  しかしある日、絶滅したと思われた魔物たちによってトウキョウィズダムが襲撃・占拠されてしまう。  以来トウキョウィズダムは魔物の王国に成り変わり、街を奪い返そうとする人類との仁義なき抗争が勃発。  相も変わらず人々は武器を手にトウキョウィズダムへ挑み、魔物がひたすら防衛するという、もはや完成された不毛な日々が続いていた。  魔物にとっては迷惑千万な話だが、魔王と魔物たちが人への報復や復讐を企てることは決してなかった。  ただひたすら、自分達の生活を守り続けてきた。が、やはり強欲な人類の勢力は衰えることを知らず、年月を重ねるごとに増大し、魔物たちは窮地に追いやられてしまった。  そんな時、トウキョウィズダムに程近い巨大な街サイタマゴリアで、世界中の人類を震撼させる「事件」が発生した。  古来より人類が遵守してきた「制約」が、とある陰謀にはまった少女によって破られてしまったのだ。  そして制約を破ってしまった少女は咎を負わされ、サイタマゴリアを追放。  居場所を失くした彼女が行き着いた先は…。
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