水と日記

勤務初日

　雨が降り出した。
　曇った空から降り出した雨のように、泣いてしまいたかった。
　川の水が真っ黒に濁って勢いを増して津波のように押し寄せてくる感覚に陥った。
　もちろん、実際にそうなっているわけではなく、川の水はただ流れているだけだ。
　私の心がそう見せているのだ。心の中は黒い墨汁が広がっていくように、黒い渦巻きが回っているように、不安感と恐怖に支配されていた。
　いつまで続けられるのだろう。
　最初は出来なくて当たり前、だけど、１年後も出来なかったら？
　他の人はもっと出来るのに。私じゃない方がよかったのかもしれない。
　こんなんじゃ、絶対呆れられている。　
　黒い考えが浮かんだり消えたりする。
　地元にいたころの風景を思い出す。あの川に帰りたい、と思う。