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俺の玉ー
真夏の日差しが肌に刺さる。
喉が渇き思わず、ラムネを買ってしまった。
すぐにラムネを胃に流し込む。
「くはぁーこりゃーうめーわー。」
このビー玉取るか、蓋を外して中のビー玉を掴む。
「うわっ濡れてる。汚っ。」
思わずビー玉を離してしまう。ビー玉は音も立てずに転がって行く。
そしてついに姿が見えなくなった。
「オラのビー玉はどこへ行く。」
必死になって探したが、見つからなかった。
諦めて家に帰ると、やはり親の姿はなかった。
「なんじゃい。誰もおらんのんかい。」
1人でツッコミをいれる。
すると、「居るよ。」と声がする。
「そねーことあるわけねーだろ。オラの家
には今オラ以外誰もおらん。」
自分に言い聞かせるように言う。
「本当にそれでいいの?あなたのせいで世界が滅びるとしても。」
「オラが何をしたって言うんじゃ。いい加減なこと言わんと、とっとと出てこい。」
台所にあった包丁を持ち、身構える。
「いいよー。」軽い返事と共に仮面を付けて、背中に羽根が生えている奇妙な人形の生物が出てきた。
ガチャーン
包丁を床に落とす。
「何じゃお前はオラに何をする気じゃ。
オラに手を出したら、日本の警察が黙ってないぞ。」
「私は、渡部賢治あなたに、伝えに来ただけよ。」
その言葉を聞き緊張が解けたかのように、床に座り込む。
「そうか。何でも言うてみぃ。オラが聞いちゃるわ。」
「では、言うわ。あなたの捨てたビー玉のせいで1年後に世界中で地震や噴火そしてプレートが崩壊して地球が破壊されるわ。」
「そねーな話信じられるわけねかろーが。」
すると、仮面の生物は空中に画像を表示した。
「これをよく見て。」
そこには、ビー玉が絶妙に地盤を刺激しながら、転がっていて、このままだと地球が崩壊する事が手に取るようにわかった。
「あなたは運が悪かったわ。悪の科学者大木玄三がたまたま開発した、全自動小型足ツボマッサージ機が間違えて混入したラムネを手にとってしまうなんて……。」
「そりゃ大変じゃあ。オラ…オラ…オラぁ、ビー玉を探して、地球救うんじゃ。大切な人がおるんじゃ。オラだけなら死んでもええが、他の人はいかんわ。」
そう言うと、急いで家中の金を集めた。
机の上に、直接死んだお父とお母の保険金は地球の為に使いますと書いて、荷物をまとめてビー玉探しに出かけた。
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