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これでいいのだ
その日の夜、タマは帰ってきた。
「タマ!」
「にゃ」
そう鳴いて、立っている足元にすり寄ってくる。
いつもと同じように。何も変わらない感じで。
「ごはん、食べる?」
「にゃ」
嬉しかったのと少しの謝罪の意味を込めて、贅沢なおやつをあげることにした。いつもの場所で、私の足元で美味しそうに食べている。
捕まえるのは諦めた。
このままでもいい。
頭もなでさせてくれて、もっとなでろと催促までする。
ご近所にご迷惑もおかけしていないし、毎日欠かさずごはんを食べにくる。
タマがそれを望んでいるのなら、それでいいじゃないか。
そんなことを思っていると、タマが私の足の上で寝る。
膝ではないが、タマの温もりが伝わってくる。
これでいい。
私は幸せをかみしめた。
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