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10分ほど固まっていた。
もっと長かったかもしれないし、もっと短かったかもしれない。
しかし、のんびりしていたら病院が閉まってしまう。
意を決してタマに洗濯ネットをかける。
そして、なんとか後足を中に入れた。
あとは前足を入れれば、タマが中に入る。
そう思ったけれど、猫は逃げるエキスパートだ。
見る見るうちに、ネットの外に出てしまう。体を上手にくねらせて、ニョキニョキと出て行った。するすると、ホントに上手にタマは逃げた。
どのように出て行ったのかわからなかった。
そして、玄関の外で、じっとこちらを見ている。
「タマ」
私の呼びかけには応えず、フイっと踵を返し、ベランダではなく敷地の外へ姿を消した。
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