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「僕、すごく維持費かかるし、パーツとか結構オーダーだから、お金すごくかかるの……透の負担になっちゃう」 「なにそれ。それくらい稼ぐよ。俺こう見えて生きてた頃のパパくらいの稼ぎはあるし、まだまだ稼ぐよ」  俺は笑う。パパの真似をして始めたロックンロールは、今はもうおれの代名詞みたいになってしまった。ロックシンガー・聖川透。いや、もうロックスターだ。お金のことは税理士に任せているからよくわからないけれど、どうやら俺は億単位の収益を生む存在らしい。かつてのパパと同じか、もしかしたらそれ以上。パパはバンドのボーカルだったけど俺はソロだから、稼ぎは独り占めだ。  俺はロビンが可愛くて愛しくてつむじにキスをする。ロビンも笑う。永遠の十五歳の薔薇の微笑み。俺が失くしてしまった無邪気な笑み。  ごめんなさい、パパ。俺はパパの宝物のままじゃいられなかった。  俺はロビンをパパから奪う。ロビンを全部俺のものにして俺が生きてる限り幸せにするし、俺はパパよりずっと長生きする。パパが俺に残した最後の宝物のロビン。俺は俺とロビンを苦しめたパパを許さないけど、俺とロビンを残して一人で死んだことを絶対に許さないけれど、それでも、パパを愛しているよ。 「雨、朝には雪になりそうだね」  ロビンが囁く。 「透が来た日と同じ」 「うん」     
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