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眩しい光に、僅かに目を細める。
朝だ。
閉めそびれたカーテンの隙間から漏れた太陽の光が、眠っていた私を襲ったらしい。
まだ体は重く、眠っていたいと主張する。
手首に体重をかけ、なんとかして体を持ち上げる。ぎこちなく上がった上半身は、夏の暑さにやられて汗だくだ。
上半身分の重さをかけた手首が少し痛む。それを隠すように、勢いよくベッドから降りた。
違和感は、その時にはもう感じていた。
私は私だ。確かに私である筈だ。
だが、それは何かモヤモヤとした違和感を胸に残していく。見えそうで見えない、もどかしい思いが明瞭な記憶をすぅっと消し去っていく。
階段を駆け抜け、居間へと着いた頃にはそんな違和感は無くなってしまった。否、忘れてしまった、と言った方が正しい。
適当に用意した、茶碗に盛られた白米と温めただけの冷凍食品、それからインスタントの味噌汁を手早くかっこむと、すっかり朝の違和感など頭の中から無くなってしまった。忘れてしまったのでも、見えなくなったのでもない。本当に、私の中から無くなってしまった、と思う。
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