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「うわーーー!」
シオンは思わず絶叫して、ルカを吃驚させた。
「な、なんだいきなり」
「今思い出した!昨日あったこと全部思い出した!」
布団を引っ張り寄せて顔を埋め、ごろごろ転がりながら悶えるシオン。ルカは唖然としてそれを見ていたが、暫くしてから声を立てて笑い始めた。
「何してるんだ。」
「だって!はずかしいじゃん!!」
ルカが布団に顔を埋めたシオンの髪を掬うように撫でた。今までになかった触れ方に、シオンの胸が高鳴った。顔をあげればルカと目が合って、少し落ち着いた気持ちになった。
この人、もう僕のものなんだよな。
「僕達…恋人になれたんだね」
「そうだな。」
そう言ってルカは目を細め、パジャマの首元に顔を埋めた。
「早く目が覚めたんだ。」
そんなことを耳元で言う。シオンは鼓膜を直接震わせる声に脳が痺れる思いをしながら、やっと返事をした。
「め、珍しいね」
「たまには朝食を作って起こそうと思ったんだけどな。寝てるお前を見ていたらまた眠くなってきて」
「寝ちゃったの?」
「いや。寝てない。ベッドに戻ったはいいが、隣のお前を見てたら眠れなくなった。」
「なんだそれ」
思わずくすくす笑ったシオンだったが、前を見た時に愛おしそうに微笑むルカの顔があることに気づいて、全部引っ込んでしまった。
なんだその顔!なんだその顔!
さっきも言ったように、ルカはもともと男前だ。無表情、無感動、無神経という余計なものが付属でついてくるから醸し出す雰囲気が怖くなるだけで、顔立ちも整っているし声だって低くて心地いい。体つきだって……。
そんな男が優しい笑顔を浮かべれば心臓に悪いし、体中の血が熱くなる。ルカがくっと声を漏らして笑った。
「耳まで赤いぞ。」
「お願いなにも言わなくていいから……!」
こんなに急に男前を上げてくるなんて聞いてない。胸焼けし過ぎて心臓まで届きそうだ。これ以上は死ぬんじゃないだろうか。
「落ち着け」
焦りでうまく喋れない唇を軽く啄み、ルカが深くのめり込んでくる。吸う息も吐いた息も全部食べられてしまいそうな深さのキスを繰り返した。
好きだ。一緒にいられて幸せだ。
言葉にせぬまま、二人は時間をかけてそれを伝え合った。
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