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「ま、フォアグラはフランにするよりか、ステーキの上にソテーして載せてんのがおいしいと思うけどね」
「へえ。そんなありきたりな感じでいいんですか。カナコさんほどのグルメ(気取り)でも」
「なーに言ってんのよ。料理は結局、定番が一番まちがいないのよ。オーソドックス万歳! だって人類の叡智の結晶よ? おみやげのお菓子も結局、定番のノーマル味が一番おいしいって決まってんだから。ちなみに私は白い恋人と、ヨックモックのシガールプレーンが好きよ」
なんだかよく分からないことを主張し始めたカナコさんのところに次の料理が、僕のところへは白のサングリアが届く。
「こちらはツブ貝と九条ネギのカルトッチョ仕立てでございます。串を外して開いてお召し上がりください」
お、これはまさに白ワインに合いそうな料理だ。
透明のセロファンのような包みの中から出てきたのはオイル仕立てのスープに泳ぐツブ貝。九条ネギが散らされてぐっと和風になっている。
「カルパッチョじゃなくカルトッチョ、ですか」
「包み焼きのことじゃないかな。これはセロファンっぽいけど、ふつうカルトッチョって言ったら紙で包んでオーブンで蒸し焼きにしたやつよね。あ、ほらメニューにカルトッチョ仕立て、って書いてある。セロファンじゃオーブン焼きできないもんねえ」
「ふうん、なるほど」
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