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美月は,本来はバス通学。
多分,帰りもバスに乗ったのだろう。
その翌日も,その次の日も…
美月は自転車置き場で
待っていることは無くなった。
美月のことだ…。
もう…自分をからかって遊ぶのに
飽きたのだろう。
佑和はそう思っていた。
あの帰りの時間が無くなってから…
佑和と美月は話をすることすら
無くなってしまった。
美月がわざわざ来ない限り,
1年の佑和が美月と会うことは無い。
「ホント…昔から…」
佑和はボソッとそう言った。
佑和は,美月に振り回されるのには
慣れていた。
子供のころは…美月にずっと
憧れていた。
だけど…自分が美月にとって
そういう対象でないことは
佑和も百も承知だった。
2つ年上のお姉さん。
中学生になれば「美月先輩」。
たった2つの差でも大きい。
無邪気な美月でも……
やっぱり自分の一歩先を
歩いていることには違いなくて…。
手の届く存在ではないことも,
ましてや,自分のような地味で
堅物な男を,美月が
そんな対象として見ていないことも
よくわかっていた。
だから佑和の中でも,美月は,
「恋愛対象」のカテゴリーには
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