第1章

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一切含まないところに 仕分けされていた。 それでも,一言も話をしない日が 続くと…なんとなく物足りない。 面倒くさいと思っていたのに 随分俺も勝手だな… …佑和自身もそう思っていた。 美月と一緒に帰らなくなって ひと月が過ぎようとしていたある日。 登校時は快晴だったはずなのに 夕方になって雨が 降り始めた。 部活を終えて玄関へ行ったときに やっと…雨が降っていることに 気が付いた佑和は, ちょっと困っていた。 「ヤバいな…結構降っとるな…」 同じ部の仲間は,既に帰宅していた。 今日に限って鍵閉め当番だった 佑和は一歩出遅れていた。 「うーん…」 この大雨の中帰ったのでは, 確実に風邪をひきそう… そう判断した佑和は少し 雨宿りしてから帰ろうかと 軒の下から空を見上げていた。 「一緒に帰る?」 突然後ろから声をかけられ, 佑和はびっくりする。 「な…なんだ…美月ちゃんか…  ……あ…いや…美月先輩…」 佑和は慌てて訂正した。 「ふ…なんか,久々に  『美月ちゃん』って呼ばれた」 どことなく嬉しそうな美月に 佑和は恥ずかしくて顔を赤くした。 「早く帰んないと,暗くなりますよ。  天気悪いし…」 「でも,佑和,  傘持ってないんでしょ?     
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