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朝,必死で自転車こいでたから
午後から雨なのになあって
思ってみてたから」
そういう美月はそっと
傘を差しだす。
「でも1本しかないんや…?」
「うん。バス停まで
一緒に行こうや……」
そう言って美月は
傘をさして佑和と腕を組んだ。
「や…ちょっと!
誰かに見られたら…
変に誤解されますよ」
「ええやん,誤解させとけば」
美月はニヤッと笑って
そのまま歩き始めてしまった。
佑和はバツが悪そうな顔をして
美月を睨む。
「美月先輩はそれでいいかも
しれんけど,
俺は…迷惑です」
佑和がきっぱりそういうと,
美月の目が少しだけ揺れた。
「…私は…ええもん…」
美月はボソッとつぶやいた。
「それにちょっと密着し過ぎ」
そういって,佑和が腕を
離そうとすると美月が
ガシッと腕を掴む。
「む…無駄な密着はいかんのやろ?
これは無駄やない密着や!」
佑和はそう言われて
一瞬意味が分からなかったけれど
「濡れないため…ってことか」と
納得した。
なんとなく話もできないまま
バス停にたどり着いた。
屋根の中に入り,
結局濡れてしまった
制服をタオルで拭く。
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