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 こういう風にのらりくらりと躱す柳は好きじゃない。いや、柳が……というよりは誰にでもそうだ。躱すぐらいなら、理由をサクっと述べた方が楽だし、不要に相手を期待させずに済むのに、と思うと私は不満が顔に出てしまう。 「あらやだ……出たわイチコの不満顔。イチコは折角少年みたいな可愛らしい顔してるんだから、天真爛漫に笑ったりしたらいいのに、すーぐ拗ねちゃうのよね。そういう所も少年みたい」 「柳はいつも私の誘いや、言葉を躱すよね。少女みたいなあどけない表情とそのささやかなお胸をお持ちなら、少女らしく振舞ったらいいのに!」 「……その少女のささやかな胸に必死で吸い付くのは誰かしらねぇ」  柳の言葉にカッと顔が熱くなるのを感じた。確かに私は柳を求める。でも柳だって私を求めるじゃないか。ここで言っても喧嘩になるのは分かってるだけに、私が口を噤むしかない。柳はどんな喧嘩でも引かないからだ。 結局柳のペースに巻き込まれた形で喧嘩の火種は鎮火させられるのがいつものお決まりだ。
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