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僕は「この大陸の地質調査をしに来た」と、あながち嘘でも本当でもない素性を明かした。テクノロジーを駆使した調査アイテムを「大陸で開発したものだ」と言って見せると、Jは驚きの声を上げながら一つ一つを食い入るように見つめた。
Jと僕はすぐに打ち解けた。家に顔を出すたび、Jは自家製の特別なお酒で迎えてくれた。Bの街のこと、人々のこと、暮らしのこと、いろんな話をした。
開拓者たちは、山のはるか向こうから旅をしてBの街にたどり着いたのだという。勤勉な移民たちは懸命に働いてきたが、まだまだ道路も建物も発展途上で、上下水道なども改善が必要だった。Jは農耕の合間に街に出かけては仲間たちと協力して街づくりに貢献していた。
「街を今よりもずっと豊かにして、子どもたちに手渡したい」
そう話すときのJの瞳はキラキラと金色に輝いていた。
僕も大陸、もとい、TPの自分の住まいや科学のこと、まだ星が綺麗だったころの自然の話などをした。
「入り江にある僕の船、空を飛ぶんだよ。宇宙まで行って、星と星の間を行ったり来たりもできるんだ」
事実なのに、Jは「まさか」と笑い飛ばした。
Bという街、Lという大陸を調査するうえで、Jの持つ土地に関する知識は大いに参考になった。調査を進めれば進めるほどこの土地が気に入り、ここだったらTPの人々も問題なく移住できるのではないかと本部に報告を送った。
「山の温度が不自然に上がっている」
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