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「おーい、なにぼんやりしてんだ、竜也」
不審げな琥珀色の瞳に覗き込まれて、竜也はハッと我に返る。
吐息があたりそうな距離感。
桜色の薄い唇を奪いたいという衝動に駆られる。
「なんでもないです。深夜のバイトしてたんで寝不足ですかね」
「ああ、おまえめっちゃバイトしてるもんな。大変だなー」
「まあ。でも働くのは嫌いじゃないんで。先輩、今日は部活行きますか」
「今日は行くぜ」
「そうですか」
そうだと思って、放課後にバイトを入れずにおいて正解だ。
竜也は内心笑みを浮かべる。
光介はそれほど練習熱心なタイプではないのだが、毎週水曜日はかならず部活に参加する。だから、その日は竜也もバイトを外して部活に行くことにしている。
「竜也も行く?」
「はい、今日は行くつもりでバイト入れてません」
「そっか。よし、優しい先輩が部活帰りにメシ奢ってやるよ」
「マジすか。ありがとうございます」
奢ってもらえるのは嬉しい。それ以上に、彼と一緒にどこかに行けるのが嬉しい。
今から放課後が楽しみだ。
今日の星座占い、おうし座はアンラッキーディだったけど大外れだ。
やはり、星座占いなんてあてにならない。
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