貴方は僕の高嶺の花

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高校から弓道をはじめてトップ選手に君臨する天才射手の光介。 全国大会で何度も表彰されている陸上部の駿馬の雄一。 割りこむ隙なんてあるのだろうか。 笑い合う二人を見ていると、胸の痛みが増す。 竜也の胸の裡を知る由もなく、楽しそうに光介と雄一は話している。 「おれ、今から竜也とメシ食いに行くんだよな」 「へえ、イケメンとおデートか。やるねぇ、光介」 「おまえな、茶化すなよ。デートとか、男同士でありえねーだろバカ」 男同士でありえない、か。 光介の言葉を口の中で反芻し、竜也は小さく溜息を吐く。 一之瀬竜也に告白されておちない女はいない。 影で自分がそう囁かれているのを竜也は知っている。 だれもが竜也の容姿を羨むけれど、そんなもの、光介に対してはなんの役にもたたない。 黙り込む竜也をよそに、光介と雄一は会話を続けていた。 「どこにメシ食いに行くんだよ、光介」 「んー、どうしよっかな。考え中」 「どうせオマエのことだから、ファミレスかマックだろ。そんでぜってーポテトフライを頼む」 「うるせーな、好きなんだよ」 「竜也の意見も聞いてやれよな。なあ、竜也」 雄一に突然水を向けられて、竜也はっと顔を上げる。 「ああ、俺のことなら気にしないで下さい。どこでもいいですよ……」 水月先輩となら。 うっかり零れそうになる言葉を飲み込む。 叶わない恋だと知っている。 だから、告白なんてしない。せめて、仲のいい先輩と後輩でいたい。
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