2/2
前へ
/9ページ
次へ
「きぃちゃん。お待たせ」 「みぃちゃん」 「帰ろっか」 「うん」  手を繋いで、帰途につく。 「きぃちゃん。手、どうしたの?」 「ちょっと擦りむいちゃって。それより、今日ケンカしたんだって?」 「う。でも仕方ないんだよ?だってひどいこと言うんだもの」 「それは仕方ないね」 「うん」  肯定すると、みぃちゃんは嬉しそうに笑った。私も嬉しくなる。  双子でも、全く似てはいない。  みぃちゃんの方が背が高くて美人ではっきりした性格をしている。だから、みぃちゃんと仲良くしたいという人はたくさんいる。そんな人たちからしたら私は邪魔で、嫌がらせを受けたことが何度かあった。  さっきの子も、本当はそうだったのかもしれない。  だからといって、許せるかどうかは別だけれど。  親にも、奇異の目で見られている。前に、周りから色々言われもした。煩わしいけど、どうでもいい。みぃちゃんさえ、嫌な思いをしなければ。  みぃちゃんが笑っていられれば、それでいい。  大好きなみぃちゃん。みぃちゃんのことは、私が守る。 「ね。後で歌聞かせて」 「うん。いいよ」  ずっとずっと、一緒にいる。そう、約束した。 「ねぇ、聞いた?」  あれから一週間。登校してきたクラスメイトが、何やら慌てた様子だった。 「一組の観月さん、一昨日から行方不明なんだって」 「観月さん?」   どこかで聞いた名前だと、首をかしげる。 「キコちゃん先週絡まれてたじゃない。あの子」  あぁ、みぃちゃんに嫌な思いさせた子か。顔はよく覚えているけど、名前は忘れてた。 「行方不明?」 「うん。学校終わったあと、家に帰ってないんだって」 「家出とかじゃなくて?」 「さぁ?山狩りはするみたいだよ」  ぼんやりと、クラスメイト達の会話を聞く。 「でも、なんか怖いよね。ほら前にもあったじゃない。こんなこと」 「あった。小学校の時、どっかで神隠しがあったって。うちの学校、それでしばらくの間は集団登下校だったよ」 「私んとこも。あれって結局見つかってないの?」 「じゃない?何人もいなくなったんでしょ?」 「らしいね。キコちゃんとこでも騒ぎになった?」 「うん。ちょっと、大変だったのはよく覚えてる」  神隠しがあったのは私の通っていた小学校で、実際はちょっとどころの騒ぎではなかったけれど。 「怖いよねー」 「ね。早く見つかると良いね」  観月さんが見つかることはなく、代わりに数日後、男性の右腕だけが見つかった。
/9ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加