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<春の野に菫を摘みに来た私は、野の光景に心惹かれて一夜を過ごしてしまったよ>
現代では、懐かしいという語を、過去を思い出して慕わしく思うことに対して使う例が多いのですが、この場合の懐かしは、純粋に心惹かれること。
その光景に過去の思い出と結びつく何かがあってというわけではなく、とにかくあまりの美しさ、のどけさに、その場を離れがたく、つい時を過ごしてしまったということですね。
本当に野宿したわけでは無く、誇張した強調表現なのだと思われますが、実際帰りが遅くなり、どこかで宿りせねばならなくなったのかも知れませんね。
また、この一夜宿にけるという結びから、菫は女性のことを仮託しているのだと捉えて、色めいた恋の歌として訳されることもあるのですが、私としては純粋に春の野を賛美する歌としたい。
雪深い地に住んでいると春に対する思い入れは格別で、春先の山野を彩る野花への愛は、世俗的な色恋などはるかに凌駕しているのです!(笑)
現在、ツイッター発の『30日物書きチャレンジ(https://estar.jp/novels/25646696)』というのをやっていて、その第一日目でこの写真を使いました。
書いたのはコレ。
* * *
諸処にまだ雪の残る色彩の乏しい山道を、冬枯れの笹を踏み分けて歩いて行くと、鮮烈な光景が飛び込んできた。
斜面にしがみつくようにして春陽を浴びる一群れの宝石たち。
瑞々しい心形の葉は、あたかも翡翠。そして、紫水晶の雫の如き花は、得も言われぬ芳香を放ち、私を一夜の眠りに誘うのである。
* * *
写真だけでなく、この赤人の歌をも念頭に置いて書いたので、ちょっとズルだったかな? でも、撮影時の実際の様子でもあります。
こちらを久々に更新しようと撮っていた写真だったのに、結局放置していたのですが、お陰でようやくこちらも更新☆
●撮影 四月下旬 石狩市
このスミレの種類は、同定出来ていません。
スミレ類は非常に種類が多く、また交雑もするので難しい……
しかし、先に記した通り、非常に強い芳香があり、もしかすると外来のニオイスミレかも? とも思うところです。
図鑑はもとより、ネットで検索しても、スミレの種類ごとの香りについてはあまり言及されていないんですよねー。国産のスミレでもニオイタチツボスミレなんてのもあるから、全部が無香なわけは無いはずなのですが。
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