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その夜、風呂も終わって部屋に戻る途中、ドゥーガルドはディーンに捕まった。捕まるのはいつもの事だが、今日は様子が違った。
「どうした」
「あの、お話があるんです」
「俺にか?」
ただコクンと頷いてくる。それに、まだ濡れた頭をかきながらついていった。
連れてこられたのは人気のない場所で、こんな場所に連れてこられるってことは聞かれたくない話なんだろうと思う。
そしてなんとなく、その内容も察しがついた。もう何度も言われているから。
「で、話ってなんだ?」
「僕と、お付き合いしてください」
「あのなぁ……」
ガシガシと頭をかきながら、ドゥーガルドは困ってしまう。もう何度か、こうしてディーンは告白をしている。ドゥーガルドはそれを何度も断っているのだ。
第一、恋愛なんて経験がない。どう接していいかも分からない。そんな繊細な対人関係なんて今まで結んでいなかったし、何より恥ずかしい。悲しいかな、未だに童貞だ。
別にそれで構わない。周囲はどうも恋人持ちが増えたようだが、自分はまだそんな事考えていない。それよりはより自分を磨く事につぎ込みたい。強くなりたい。
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