昇級試験(ドゥーガルド)

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「人を失うってのは、どんなんでも痛みが伴う。それが目を掛けている相手や、好意を抱いている相手ならなおさらだ。ファウスト様を見てみろ、最近じゃますます鍛えてやがる。ランバートを失わない為だ」 「あ……」  言われて、ハッとする。最近ディーンに付き合って夜の練習をしている時、時々その姿を目にしていた。大抵はランバートが風呂の時間や、ゼロス達といる時間にこっそりと剣を振るっている。時々はアシュレーと手合わせをしている時もある。  あれだけ強い人でも、不安なんだ。その不安を拭うように、己を鍛えているんだ。 「…とりあえず、どっしり構えておけ。そんでもって、負けた時には一言声をかけてやればいい。労いの言葉だ」 「……うっす」  溜息をついたグリフィスが、立ち去っていく。ドゥーガルドはそのまま、観客席へと戻っていった。
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