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初めてだった、こんなに圧倒的に実力の違う相手なんて。
コンラッド相手だってここまでじゃない。あいつも強いが力はそれほどじゃない。パワー系のドゥーガルドが相手だと力負けは間違いない。
だがランバートは蹴り一つで落としたのだ。ある意味感動した。
実際付き合うとこいつは本当に気持ちがいい。一緒に馬鹿をして笑って付き合ってくれる。これで大貴族なんだから、見方も変わるってもんだ。
そんなランバートの恋人も……腰が抜けそうな程驚いた。よりにもよってファウスト様だ。あり得ない。
最初こそそう思ったが、今になっては似合いだ。素直に今は応援している。
夕刻、昇格試験前で一年目が抜けた分仕事は少し増えたが何事もなく進んでいる。
ドゥーガルドが備品をしまっていると、背後から足音が聞こえてくる。最近感知できるようになった足音だ。
「ドゥーガルド先輩!」
近づいてきた金に近い茶の髪を流した少年は、半年前から随分成長した。ユーミル祭の時は一六二センチ程度だった身長が、今では一七三センチと随分伸びた。成長期らしい。
体つきも普段の訓練であの時よりも逞しくなった。
「ディーン、どうした?」
「姿が見えたので」
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