獅子は子リスを手放せない(ドゥーガルド)

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 そっと距離が出来て、至近距離から青い瞳が見上げてくる。そして、触れるばかりのキスをした。 「っ!」  柔らかな感触は初めて感じる。触れて伝わる熱が、必死に何かを訴える。熱くなっていって、抱き寄せる腕に力がこもった。折れてしまいそうな腰を引き寄せて、ドゥーガルドは長く長く触れていた。 「先輩が好きです。強くなってみせます。届かなかったけれど、もっと頑張って上を目指すから、貴方の側にいさせてください」  涙で濡れながら、それでも強い青い瞳は強情な光を称えている。その目に見られて、ドゥーガルドは躊躇いながらも頷いた。 「俺も、まだまだだ。だから二人で上を目指す。それで、いいか?」 「はい!」  嬉しそうな笑顔のまま、ディーンはドゥーガルドの首に抱きついてくる。その体を抱きしめながら、ドゥーガルドは照れて真っ赤になりながらも幸せそうな笑みを浮かべた。
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