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それっていうのも、早上がり組が食事を取っている間に遅上がりは風呂に行っている。そうでもしないと両方溢れるわけだ。
「またひっつかれてるの、ドゥー?」
「おう、ボリスか」
同じく早上がり組のボリスが手を上げる。その側に座れば、一緒にディーンもドゥーガルドの隣に座った。
「相変わらずドゥーが大事だね、ディーン」
「はい、ボリス先輩。愛してます」
「愛し……」
悪びれず、しかもとても嬉しそうに言ってのけるディーンにドゥーガルドはもうタジタジだ。紡がれる言葉の恥ずかしさに顔が真っ赤になっていく。
第一こんなのは慣れないんだ。当然のようにドゥーガルドは非モテだ。大抵の相手には「怖い」と言われ、数人には「強い」と言われ、更に数人の物好きに「いい奴」と言われる。
怖いは理解できている。子供の頃からガタイが良かった。家の仕事も力仕事を担当したから当然筋力もついた。そのうち順調に町のガキ大将になり、腕っ節の強さから騎士団に入った。順当な道だろう。
だがここに来て、より上が五万といる事を知った。それは打ちのめされたが、同時に楽しくて仕方がなくなった。ここが、雰囲気的にも合っていると自覚している。
でもまさか、「愛してる」なんて言葉が自分に向けられるなんてドゥーガルドは思ってもいなかったのだ。
「ドゥー、真っ赤だよ」
「いや……」
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