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子リスは獅子が大好きで(ディーン)
ドゥーガルド先輩が好き。
そう思うようになったのは、去年のユーミル祭から。
小さくて細くて弱いディーンは、兄弟の中でも目立たなかった。家は大きな農場と馬を育てる地方の小貴族で、力仕事が多かったのに、ディーンはその数に入れなかった。
「チビ」「役立たず」「のろま」そんな言葉ばかりを浴びせられる生活の中で、いつしかディーン自身も自分をそんなふうに思うようになっていた。
そんな状態で父親から「騎士団に入れ」と言われたとき、とうとう捨てられるんだと思った。騎士団はとても厳しい世界で、危険だ。でも、家族から騎士団に入団した者がいるというのは地方では誉れだった。せめてその程度は家に貢献しろ。そう言われたのと等しかった。
そんな思いで入った騎士団が楽しいわけもない。入団は果たしたものの、十把一絡げの自分が目立つわけもなく、いつも自信がなくて顔を上げられなかった。相変わらず弱っちくて、小さくて、役立たずで。
入団半年、逃げ出したい気持ちが募っていった時だったんだ、ドゥーガルドに出会ったのは。
――じゃあな、頑張れよ!
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